女たち/草野春心
女は戯画のなかのインディアンみたいな出で立ちをして
紙紐を使って ベッドに男の四肢を括り付けていた
人工の冷めた光は磨りガラスの窓を白く染め
取れかけた口紅を不気味に照らしつけ
女を魔なるもののように見せていた
その四角い部屋には 大きなピアノが一つ置かれていて
鍵盤の前には もう一人の女が座っていた
女には両腕がなかったが 空調からの微風で譜面が捲れると
音楽が 緩やかに 次の局面へ移っていくのが誰の耳にもわかった
無論、ベッドの上で岩石のごとき裸体を晒し
乾いた双眸で天井を見つめる青年の耳にも
ベ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)