酒樽たち/
はるな
夜に
徐々に黒は
春に犯されている
そうと知りながら
花を賛美した
泣いているひとを知りながら
眠たい酒樽たちに
よごれた指を一本ずつ沈めていく
抱きしめてなおやさしいために
指を捨てていく
反復は半分凍って
わたしはひとりになった
蜜のなかで呼吸するのは
死ぬこととだいたい同じで
なにかを
壊す必要もなくなったから
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