猫と雪/こいち
夜中の2時に玄関前で
猫がニャーニャー鳴いている
外では雪が降っていて
染み込んでくる冷気のために
僕は布団にくるまっている
古い時計の秒針だけが
静かにこだまし続ける夜中に
ニャーニャーと
寒いのだろうか
お腹が減ったのだろうか
寂しいのだろうか
部屋に入れてほしいのだろうか
この部屋で一緒に暮らすのだろうか
ともにミルクをすすり
パンを食べるのだろうか
一緒にテレビを観るのだろうか
じゃれあって遊ぶのだろうか
二人で散歩するのだろうか
僕が帰って来れば
お帰りと迎えてくれるのだろうか
たまには喧嘩もするのだろうか
すこやかなるときも
やめるときも
そばに居てくれるのだろうか
僕は布団を剥ぎ取った
底冷えする部屋を歩いた
凍る様に冷たいドアの取っ手を握り
扉を開いた
そこにもう猫は居なかった
風に乗った雪が
僕の足元で溶けた
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