遠い橋/佐白光
 
いつもより赤い夕陽が レンズのかかった 目に映る
煙突からの かすんだ煙が風にさらわれる
家路へ急ぐ 人々の影が消えそうになる
この日常の風景の中にも 答えはない

自分自身を 分断している 心の叫び
いつからだろう
この想いを 心の中に棲まわせたのは
想いを届ける橋を渡りたい
どれだけのものを失えば 渡れるのだろう
どれだけの悲しみを振り撒けば 渡れるのだろう
渡りたい 渡らずにはいられない
人を好きになってしまった 想いから
逃げられない 逃げたくない

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