滑らかな掌が部屋の中で/
草野春心
滑らかな掌が 部屋の中で
私たちの内のどちらかをさがしている
(夜は こんなにも 明るいというのに)
捩じれた、青白い樹の 影が、こごえている
いつか 囁きに似た笑みが 床に溢れたままになっていた事は
私だけが思い出しているのだろうか 棚に背を押し付けて座り込みながら
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