不死鳥/
ただのみきや
雪を被った針葉樹の臍あたり
ふっくりと一羽の雀
小さな瞳に世界を映す
やがて薄曇りの向こう儚げに
手招きをする太陽へと飛び去って
小さな黒点となり
視界から消えた
わたしの煤けた肋骨の奥底
芥の中に微かに残る熾火からも
雀のような 鶸のような
不死鳥一羽 飛び立たないものか
人が定めたあらゆる境界を越え
無残に刻まれた時と時代を越え
遠く まだ見ぬ森や湖
知り得ない誰かの心まで
《不死鳥:2013年12月25日》
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