牧歌/そらの珊瑚
れたようになっていたわたしの心が、今日なぜかこの一句の易しい言葉たどりついた。
現代において「牧歌」は失われてしまったのだろうか。
いいや、わたしはそうは思わない。もちろん本来の意味での牧歌は日本では失われてしまったかもしれない、
家から出ずとも世界の果てまでネットワークでつながった現代においても、実は人の心はそう変わらないのではないか。
ほら、あともう少ししたら子どもたちが公園に集まってくるはす。わらわらと。子どもたちによって踏まれた雪はやがて茶色の泥水になって、土に染み込み、そのゆくえは知りえないものだけど、たぶん私たちは直感で既に知っている。春へつながってゆくことを。
きっと。
春はもうそこまで来ているような気がする。とても寒い朝なのにねえ、雀よ。
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