遠い送信/aida
 
星々は金銀の砂子
夜の空はつやつやと黒く輝く
赤く点滅しながら
ゆっくりと渡って行く夜間飛行
その軌跡を追い
憧れは弧を描く

その横顔を思い出す
声 胸 指 その瞳
耳をよぎる吐息を思い出し
何もかもを思い出す
美しい夢を燻らせて
皮一枚で保たれている
脆くて怖い奇跡の卵のよう
その綺麗な寝顔

今どこでどうしているのだろう
見上げる空には不可聴の囁きが満ちて
私はますます孤独になる

夜に落ちながら
夜に昇りながら
空を見ている
立ち揺らぐものを
言葉にならないうちに
モールス信号のように送信する
何処でもない場所へ
あてどもなく打ち上げる
[次のページ]
戻る   Point(1)