【レビュー】雲雀料理11号の感想 4/4/mizu K
 
の右下から左上にむかって対角線上に横切る、未舗装の道、あるいは人の足で踏みかためられた道、あるいは雑草の生い茂る荒れた広場。そこを白い人物と黒い犬と灰白の犬はどうやら奥に向かって行く途中であるようだ。道の奥。絵の奥。そこには何があるのだろうか。シルエットが高く空に浮かんでいるあの大きな建物まで道はつながっているのだろうか。荒々しい不穏な風景のなかを彼らは行く。

けれども、彼らのおぼろげにうかがえる雰囲気や表情といったものからは、絵全体にただようような切迫した様子は伝わってこず、むしろどこか安楽としている印象をうけるのである。あるいはこの絵の場面は、道の奥、絵の向こうへ去りつつある彼らがふとふりかえって、それを見ている私たちにむかって、軽く別れの挨拶をしている。でも「また、ひょっこり帰ってきます」と言っている。そういう風にも見えるのだ。

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