夜食/
藤原絵理子
あわただしくなった病室
「…清志郎さんと歌えるかいなあ」
その人はつぶやいた
酸素吸入マスクに遮られた声
古いフォークソングを教えてくれた
知らせたとき 穏やかに遠くを見た
あたしと同い年の娘がいた
夜中に一人泣いていた
こっちの世界に引き戻そうとする
点滴のリズムが刻む時間
遠い諦めと近い希望が交錯する
死亡確認の
まぶたに触れたその指で
カップラーメンの蓋を開けている
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