冬と蒼紋/木立 悟
 

そこに居るが見えないものと
既にそこに居ないものとが手を結び
羽の粒をころがしている


何も持たないものから先に
冬と等しく照らされてゆく
森へむかう長い弧の径
渦を見る目にまたたいている


晴れた午後は湖面に重く
歌はしばらく止んでしまう
霧は捨てられた筆を手に取り
ひとつの生きものを描きはじめる





















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