運河の夜/藤原絵理子
姿をとらえてると思う」
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S:「へーえ.あなた,絵が描けるの?」
H:「いや,絵は描けないけど,イメージだけは,はち切れんばかりに膨らませることが得意だ」
S:「いやねえ…そんなに見つめないでよ.まだ,酔いがさめないの?」
H:「きみといっしにいる限り,この酩酊から脱することはない…」
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S:「水面に映った光が揺らめいて,幻惑されるようなもの…風と波のいたずらね」
H:「いや,幻じゃない.きみの声を聞くことができるし,きみの香りを楽しむこともできてる.きみが許してくれるなら,きみの感触だって…」
S:「I still remember the ways that you
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