運河の夜/藤原絵理子
 
遜ね.研究室で聞いたわよ,あなたのこと」
H:「その情報源は,どうせNのやつだろ.あいつ,やっかんでるんだよ」
S:「やっかむ,って,何を?」

H:「きみが,来るたびに僕を誘うからさ」
S:「え?あたしは,悪いなあなんて思いながら,つき合ってもらってるだけなんだけど」
H:「つき合ってもらえるんだったら,Nでもいいのかい?」
S:「そういう言い方は止めてよ…けど…」

H:「けど?」
S:「彼よりあなたの方が,お願いしやすいのは事実」
H:「ははは.言い方が駅向こうを迂回してる」
S:「しょうがないじゃない.踏切も地下道も跨線橋もないんだから…」

H:「はいは
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