薄い衣/草野春心
 


  春、ひとすじの川が
  豊かな緑に彩どられるころ
  薄い衣をまとっていくといい
  きみは女なのだから



  岸のむこう側では
  きれいなかたちをした石が
  見つけられるのを待っているから
  そろそろ いそいで いったほうがいい



  今宵の月の
  手の甲が白くなっていく
   ぼくは嘘をついているだろうか
   それとも きみが正しすぎるのか



  薄い衣をひとつだけ、まとっていくといい



  はやく



  いそいで、



  きみはもう



  自由なのだから




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