文字風呂/朧月
 
お風呂の中には水がある
どこからきたのか知りたくて本を読む
おぼれそうになりながら
読む本をささえる指
わたしはどこへゆくの
流れる水になって

言葉はあふれても
どこへもゆけないの
文字にそんな力はないという

そうかしら

伝えるということを
あきらめてはいないのに
ため息つくように
文字を水にひたす

お風呂に文字におぼれながら
あきらめてはいないとおもい
必死におよいだ
わたしというからだ

いっぱいにためられた
水はどこからきたの
どこへゆくのだろう
わたしのことば
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