イメージ・キャラメルの日/ワタナベ
もへて
街のビルというビルは
キャラメル色に染められたり
そこに赤いペンキで大きく×印が落書きされたりもした
混沌とした街からは人の姿が消え
キャラメルを巡る抗争をしたり顔で分析した新聞紙が
風に巻かれ塵とともに曇天の空へ舞っていった
今俺は裾長のコートを着て
活気ある闇市を猫背で歩いている
暗い路地に延々と続く闇市では
サイコロを模したキャラメルの入った小箱が
雑然とならべられ
広東語英語その他が飛び交う
一度狂った歯車はもう元には戻らない
キャラメルを口に放り込むと
甘い
そして苦い
空は青い
それはきっとこれからも変わらない日常
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