【レビュー】雲雀料理11号の感想 3/4/mizu K
 
苦しいな、目の前がくらいな、どうしたのかな、かすんだ靄の先に墓石が見えるよ、なにか書いてあるな、名前だな、ああなんだ、自分の名前じゃないか。合掌。

そうなる前に、その真綿からでもいい、糸を紡いで、そのほころびや裂傷を縫い、繕っていく。だがそれは永遠に終わらない。生きているかぎり続いていく、その延々と繰り返しをもとめられる作業に、詩の語り手はややうんざりしているようにみえる。どうしてこうなった、と困惑する気配も感じられる。だがどこかでこれらを一笑に付すようなしたたかさもあるようだ。

最終連の糸、それによって繕われたものは、糸が通る以前のそれに比べると、いくぶん不格好であるかもしれない。すこし捩れているかもしれない。すこし波打っているかもしれない。けれどもそれぞれの色に彩られていて、以前よりもすこしだけ、強靱になっているはずだ。



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