【レビュー】雲雀料理11号の感想 3/4/mizu K
 
しい。欲しいのだ。喉から手が出るほどに。

そういうジレンマを、〈それも僕らの悲しい性だ〉と言う。言ってしまう。言いたくもないが言わざるをえない。気にくわない〈お偉いさん〉を、蛾を誘う電灯のように魅きこんでいるのは、くりかえすが、私たちの吐き出すものなのだ。それを使ってつくられた〈いろとりどりのカナッペ〉は、毒々しいほど鮮やかで、どうしようもなく嫌悪を催させ、それでもありえないほど魅惑的に、それが口の中に放りこまれるのを今か今かと待っている。それが釘や金属片を仕込んだ爆弾だとしても、カネに捕われたものにとって、やはりその誘因力はあらがいがたい。



■ 市村マサミさん『地下鉄の粘菌』
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