伝書鳩/
千波 一也
うつくしく帰れ、と
はかない願いを込めた
ささやかな窓辺は
永遠に失われない
ただし、代償はある
例えばそれは
老いる瞳
例えばそれは
老いる瞳の中の
いつわらざる面影
例えばそれは
老いる瞳の外にしか
生まれられない温度たち
信じた末の迷いの空を
一直線に雲がゆく
だれにも
剥ぎ取れない
剥ぎ取るべきではない
やわらかな羽が
永続の輪を
なぞり
ゆく
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