人と蛇の寓話/まーつん
べれば
栄光も富も、女の愛も
ただ、ただ 空しいだけでしかない
この身体の内に宿した
蛇の導きに従って
すべてを手にしてきたが
その間の望みは唯一つ
解放されることだった
そして今日
とうとう己が内から
この蛇を吐き出したのだ
今や、私は乞食に堕ちてでも
生き延びたかった
そして、自分の人生を
歩みたかった
゛お前の考えは分かっている゛
と、鎌首をもたげながら
蛇は言った
゛契約を、反故にしたいというのだろう?
だが、それはできない相談だ
お前は逃げられはしないし
俺を殺すこともできない
ナイフを閃かせて
飛びかかって
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