人と蛇の寓話/まーつん
 


帰宅した私は食卓に着くと
両手でテーブルを鷲掴みにし
一匹の大蛇を吐き出した

黒々とした身体
ぬらぬらとした光沢
それは私の分身であり
一部なのだった

゛はらがへったよ゛
と、そいつは言った

琥珀色の瞳孔は
臨界に達した
超新星のように
小気味よいリズムで
収縮を繰り返しつつ
私を見つめていた 

゛お前さんの口にしたものは
 全て俺の胃袋に入った
 一度も野を駆けずに終わった 獣の肉
 一度も証しを立てずに終わった 愛を誓う囁き
 
 権力の名の元に
 無数の貧しい懐から掠めた
 税金の山
 
 正義の名の元に
 無数の敗
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