放射冷却/
千波 一也
聞き耳を立てていた
厳しい言葉の迫る気配に
責める言葉の
迫る気配に
聞き耳を立てて
いた
口裏を合わせていた
障りのない言葉をえらび取り
結論付けない言葉を
えらび取り
口裏を合わせて
いた
成り行きを見守っていた
勢いづいてやまぬ炎の
勢いづいて
鎮まる炎の
成り行きを見守って
いた
私ならざる私になろうとしたのは
事実
でも、
私はやはり私でいたかった
誰にも聞かれない言葉ほど
私に無慈悲なものは
ない
独りになると、ひどく
寒い
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