【レビュー】雲雀料理11号の感想 1/4/mizu K
感じたからで、しかし、おそらくこの詩が書かれた当時と現在とでは、あれこれと状況がまた大きく変化している。もし今現在においてならば、語り手のつぶやきはどのように変化しているだろうか。今が戦後か戦時か平時かあるいはすでに戦前であるのではないかという議論は以前からあるのだろうけれど、いまだきちんと清算できていない―と私は思っているが―あの先の戦争について目を閉じ、耳をふさぐのならば、私たちのこれから、にやってくる〈夕闇〉の世界には、おびただしい数の蟬の抜け殻が転がっている風景が広がっているだけだ。だがそれを予期しおののきながらも、あらがい、逡巡し、迷いながら目の前のことがらを見きわめ、選択
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