【レビュー】雲雀料理11号の感想 1/4/mizu K
 
った指から流れる血は赤黒く、〈ピアノ〉が想起させる(グランドピアノの)「黒」に、最後は収束する。現在進行形ですすむ〈すべての終わり〉と〈そのあと〉。つまり〈すべての終わり〉以後の終末的イメージも、私の場合、かぎりなく黒に近い色を想像する。

そこで奏でられる音楽。音楽というか、音である必要もないのかもしれないが、すべてが終わったあとの、誰もいないところで、ほとんど弾き手を想定していない音楽とは、いったいどういうものなのだろうか。「終わり」という点で連想するならば、オリヴィエ・メシアンの『世の終わりのための四重奏曲』なのだが、かの曲には明確に音があり、演奏される。演奏する、人がいる。

作中
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