紙コップの中の風/
朧月
ちいさなちいさなしあわせを味わう
紙コップで飲むコーヒーのような
てのひらで包めるあたたかさは
確かにここにあることを知らせる
だれもがちいさなぬくもりをほしがるけど
簡単にその手を差し出してはくれない
言葉の裏側ばかり追いかけている
今ふいた風はどこへゆくのか
みつめようとしてもどこにもみえない
このてのひらは
なにもつかんではいない
ちいさなちいさなしあわせあげたくて
あなたの分の
コーヒーをそっと置く
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