即興、はじまりの場所で/
橘あまね
こよみが裏切られ
木々は途切れ
老いた田園に
祈りを帯びた青い雲
荒れ果てた放棄地に
にがい風はとどまる
ちいさな歌を弔うため
花の名前を指折り
陽射しを受けとめる
古い石積み
繰り返しに飽いても
揺らぐことはない
地平が遠ざかる
病のはじまりに
約束された場所は
とても静かだ
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