むじな/春日線香
それについては因縁がある
なにせ前世の仇だから
うららかな冬の日
わたしはそいつを探して山にきた
皮をなめして枕にしてやろうと思ったのだ
鉄砲をかかえ 神社の脇を通った時
昼寝しているそいつを見つけた
こんなに簡単にいくものなのかと
うまうまと鉄砲を突きつけ ずどん!と一発
するとどうしたことだろう
昼寝していたのは自分で 撃ったのはそいつ
撃たれたわたしは胸に大穴をあけられ
ぷつりと命を閉じた
それからはよくわからない
ひらひらとどこかを飛んでいた気もするが
最後はなめされて枕になったのだろう
本家の離れで寝た夜 枕がそんな話をした
むじなの毛皮で作られたという枕は変なにおいがして
とても寝苦しかった
本家の人に断って
ドラム缶で燃やした
戻る 編 削 Point(3)