起こして/
春日線香
寝ているうちに夕方になった
夜になる前に起きなければならない
けれどどうしても布団から出られなくて
カーテンの陰にいる母に
起こして と言ってみる
母は不思議そうな顔をしている
見ているだけなら早く成仏すればいいのにと思う
起き上がる気力がなくなってしまって
同じ姿勢のまま身動きがとれない
部屋は真っ暗で空気が薄い
母の体が青白く輝いている
起こして ともう一度つぶやく
母はあいかわらず見ているだけで
布団の中ではわたしの体が腐乱している
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