沈殿/和田カマリ
小春日和と言う日和に
薄青い水溶液をたたえた
フラスコの底で佇む
そんな僕がいました
誰かが揺すれば
僕も揺れる
ボクもボクもと
コロコロと音を立てて
見あげれば空の海面から
光が射してくるよ
だけどいつもどこでも
乾いた水を含んだ和紙が
光の良い所をダメにする
そいつは一枚
また一枚
僕の顔にも降って来るから
だんだん息が出来なくなる
この世界は少し苦しい
せめてもう一度
立ち位置が熱くなれば
対流で登れるのに
ありもしない事
出来もしない事
ぼんやり考えて
フラスコの底で
石化して行く僕
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