心の目が開くと/いねむり猫
 
した子供の泣き声を真似て 咲き

錆び付いて回らないはずの 裏木戸の取っ手が 
風に誘われて 微かなハーモニーを 歌う

深夜のハイウェーを照らす街路灯とヘッドライトは
夜光虫のように半島を 彩る

世界は 美しく 侵食しあい 
また はなればなれになる

私という意識も 巨大なビルの影に後退して
闇に食われ 
また 部屋の貧弱な灯りの中に
吐き戻される

心の目が開き

私が退場した その場所は

「私」が無様に押しのけ 
「私」という錯覚が 隠していたもの
時の狭間から湧き出す 
みずみずしい 星の細胞たちが 
埋めてくれる

そうなのだ

世界は そこに 確かにあったのだ

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