あなたは人間です。/hahen
ど、そうみたい
あなたは幾分色合いが
控えめになって、四角形に区切られて
手のひらをぼくに向けて
静止し続けている
これらは昨日までの出来事だったんだ
もう、仕事は最後の書類整理を
昨夜終わらせたから
あとは新幹線に乗るだけさ
ねえ、でも
この切符は、ぼくの望む場所には
連れて行ってくれないみたいなんだ
もしよかったら
ぼくはこれからあなたの
最後の一呼吸を見届けてあげたいんだけど
炎に焼き尽くされて、飴色に、
あなたが声も出せないまま
ぼくに、何か言いたいことがあるんじゃないかな
いや何も無くたっていいさ
心が動き出す。
ぼくの中で、世界の崩落よりも大事な
ルーチンワークとしての循環へ向けて
遥か上空から取り出すための
力強い希求を、燃やして、
あなたは今再び
ぼくの前で人間になれる。
いつまでも絶えない炎の中で
あなたは喘ぐようにそして
解放のひと時を謳うように
皮脂と血液と
砂塵に、さらには雑菌と
腐った飴色にまみれた世界を呼吸する。もう一度。
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