サロメくん2/salco
 
とヘロデヤ
そう、まさにそんな仔の母体
座敷牢でしか衝かれ動けぬ主体になるべく
育まれた不甲斐ない男の十九歳は
肉親という客体を獲物と見なすに至る
骨の髄まで酸化した雌の成れの果て
老廃に浮腫み天ぷら油の匂いがする奴婢
あさましく非力な昼寝の母
こんな代物を通過儀礼に狩ろうというのだ
この子宮破裂はお母さん
悲劇も被害者も死肉の側にはないですよ

ヘロデはどこだ
家賃を払い給餌する母にぶら下がり
罵声を浴びせて巣立つ代わりに
現状打破を猟奇にすり替え
メンドリさながら抱卵していたウラナリの父
世襲君主にして宗主国の傀儡
活路は領土の外にしかないのだと示すべき叔父
幕屋の支柱にして歴史の道化
有責奴隷ヘロデはどこ行った

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