影うた/
千波 一也
幾重にも
連なってゆく
痛みの無言に慣れてしまう
その痛み
それは
誰にも明かせないから
誰もがみんな
重たく齢を
重ねる
褒美のような光の背には
忘れられ過ぎた美しい輪郭が
揺らめいている
幾重にも
歓びあって
揺らめいている
丁重に
差し障りのない物語を
憐れみながら
己もやがては
そこに身を置く
幾重にも
降り積もってゆく
白い穢れに清められてしまう
その漆黒
それは
誰にも見つからないから
誰もが小さな重みを
護る
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