空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
 
男性がベッドに眠っていた。リュックを枕に寝ていたので、首の角度が九十度になっていて眼を開けていればおそらく視線の先は足の爪先であろう。眼鏡をかけていて、昔の喜劇に出てくるような、大阪の食い倒れ人形のような、やっぱり昔のコメディアンのトニー谷のような顔をしていた。ウイスキーのような酒が数本ベットの下に置いてあり、かなりの酒飲みのようだ。
  こんな遠い国まで来てこんなに酒を飲んで、急性膵炎になったらどうするのだろう。まあ、この国の病院にでも行くのだろう。ぼくは以前日本で酒を飲んだ後に急性膵炎になり、背部と腹部に激痛が走り止まず入院した。あれ以来酒は欲望から遠ざかっている。
  
「あらまーん。
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