空にさよなら日記/八男(はちおとこ)
ときの自信のない力のこもった感じ、忘れられない。
急にホームシックのような気持ちに襲われてしまった。
「ういーっす。」
ギターを持った長髪の青年が入ってきた。
「おーう、おはよー。起きたかぁー。」
草刈さんが慣れた感じで声をかける。どうやらぺろよんに泊っているらしい。日本人だ。
見たところ、アイドルグループのトキオの長瀬に似ている。かなりモテるのだろうか。
この本棚の村上春樹はひょっとしたら、長瀬が持ち込んだのかもしれないと思うと、焦りだした。こんなにハンサムで、村上春樹を読みこなしているとしたら、かなりの強敵だ。
「ぼく、森本海万言うねんちゅうねん、よろ
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