さよならユートピア/笹子ゆら
 
 


どこに有るかも分からないのならば、もう探す意味もないのだ。言葉にしても定まらないユートピア。黄金郷。息を吐かせる暇もないような、ほとばしる輝き。どれももうきみには必要がないだろう。(つまるところは)そこにある死のようなものを私たちはかき集めて(いるような素振りで)何となく世界にあこがれながら生きている。行くはずも落ちるはずもない天国と地獄で、虚勢も虚構もようやく価値を持つのだ。私たちの持つ、永遠のような永遠でないような(それでもってすぐに掻き消えてしまいそうな)たまらない夢を転がしながら、そこに死を(終わりを)感じている。(つまらない)ときみは言った(そうだ、当たり前に、つまらなかっ
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