砕氷船/
千波 一也
かなしみは
凍てついたりしないから
いつまで経っても
わたしは
楽になれずに
ひどく体温をうばわれる
硬いものなら
落としてしまえば終わりにできる
手から放して
決別できる
するどい痛みを伴う軟らかさには
願わぬ再会ばかりが叶うから
潮騒の語りが耳に届く
少しだけ
解かれるようにして
耳に
届く
もう
衝動なんて抱かない
ためらうことも
ままならないのに
どんな身動きができようか
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