女工哀史とLEDの青い光/uri_kappa
 
電車の窓から街のネオンが走る
走馬灯のように次から次へと走る
冷たく糸を引く青 青 青
LEDの青い光

お婆さんが語りかける
光で語る
娘時代に紡いだ糸の話
ティーンエイジャーの華奢な指の青と
まとわりつく赤い血管のストーリー
濡れた絹糸はやはり青く光る

お婆さんの青い光は旅立った
人を経て、時を経て、LEDの青い光となった
輝きながら次は何に化けるだろう
どこまで追ってゆけるだろう

お婆さんの青い光は
かつては お爺さんの船にぶつかるホタルイカの青
二人の子が持つ万年筆の青
その子の子のスマホの青
その子の子の子の小さな瞳の青

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