パパとママ/葉月桜子
テーブルには いちごがあった
私は食べたかったのを我慢して
クローゼットの横に体操ずわりした
パパとママはお互いを罵り合う
傷つけ合いながら 存在を否定しあう
出て行けとパパはいう
私だけ置いて ママに出て行けと
ママはトイレに行きなさいと私に言う
幼い手を引っ張って 儚げな月の光が
夜の道をそっと照らす
パパとはそれきり会っていない
誕生日にはプレゼントを送ってくれる
私を置いていけと言ってくれたから
嫌いになんてなれないよ
私にもいつか好きな人できるかな
パパみたいな人はいや
でもママに新しい人はいらない
パパは私の中で一人しかいないから
パパの夢 今でも見るの
あの日のテーブルのいちごの夢も
ママに手を引っ張られてお家を出て行く夢も
忘れられなくて時々見るの
パパ
パパには新しい家族がいますか?
中学生になった私は
いろんなことを考えて
もうパパには電話はできなくなっちゃった
本当の家族ってなんだろう
私の家族は誰だろう
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