オプシオン/竜門勇気
「本当に冷たくて、さっぱりとした気持ちのいい雨だった」
うなずきは喧しいくらいにひびく
突然眠くなるみたいに心地のいい騒音
見てみて 闇が手を伸ばすよ
それがこの手を掴みそうで
なんだかとても心が悪くなりそうなんだ
ほら見て 闇と僕はキライ同士だよ
闇が僕の顔めがけて唾を吐いた
八十分のフィルムは無限に続く
「気持ちのいい雨だった」
「ああ、まるで朝の太陽を浴びるみたいな」
彼らも八十分だけしかここにはいられない
僕だけが
猫のクソとカエルの耳垢を有り難がってるのさ
ここは みんな一度来たら必ずこう言う
「ここにはいつか来たことあるよ
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