音もなく火は燃えて/
朧月
冬の音なんてどうせしないとおもう
私たちの前にはなんの音もない
空に浮いた私のカラダを
かろうじて文字が支えている
悲しくなんかないのに
雪がふるから痛いよ
まるで忘れていた場所から
うったえてくるように
白い景色はなぜか
なにもかもを許しているようで
ここにいてもいいのだと
ひとびとを励ます
冬の音はしない
ただ火は燃えて
生きるすべはぜんぶこの火の中に
そんな気がして手をかざす
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