宙を舞う/……とある蛙
 

その瞬間はスローモーション
スットップモーション
宙を舞い
全ての音が遮断され
しかし、身体は宙を舞う
身体は勝手に宙を舞い
他人の身体で宙を舞う
思った通りには動かない

昔のことが全て同時
あるいは逐一思い出す
走馬燈はこんなものだっけ
痛くもないし
痒くもない

ってその瞬間
曇り空が視界に入り
空を見ながら呟いた

いやぁ あっけねぇなぁ

刹那
全てが現実のものとなる
ほんの二,三メートル先での
クラクションとブレーキの音が
落下した自分の身体に降り注ぐ

死ぬ瞬間は
まぁどんななのか

とつぜん身体が痛くなる
落下の時の衝撃で
やはり生きることは
痛いものだと実感する。

それからも
痛い思いをしながら生きて行く
痛い思いをたくさんしながら

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