宙を舞う/……とある蛙
死について、
突然、その時は訪れる
死の実感は
高校二年の春だった。
いつもの朝の登校時
いつもの郵便局の角を曲り
いつものとおりのバス通り
いつもの調子で渡ろうと
いつもの歩幅で渡りだす。
信号待ちの車列を確認、
いつものとおりに渡ろうと
本の数歩前に出る
っとその瞬間
車のフロントバンパーが迫ってくる
ゆっくりゆっくりと迫ってくる
それを視認し避けようと
しかし、身体は動かない
意識はあるが動かない
だが焦っているわけでも無く
意外と意識は冷静で
轢かれるなぁ 等と思いながら
死ぬのかなぁ 等とも思った。
突然、身体が宙を舞う
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