エーテル 11/草野春心
 


  椅子に座り、瞼を閉じて 静かにしていると
  彼女の心は川の水に深くゆっくりと沈んでいく
  遠い、淵のところからあふれた透明なものたちが
  灰色にくすんだビル街を薄い膜で包みこむ
  幾つかの転轍機が作動する
  葉書にはなにも書かれていない



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