夜を歩くという事/
塩崎みあき
ビルの谷底では
夜が
空よりも少し
早く訪れるだろう
何冊かの読みかけの本の中から
数ページ角のすり切れた
ものだけを選び出し
それを
開こうかどうかと
迷ううちに
街灯の月が灯る
なぜだか
喋っている訳でもないのに
自分は声が小さい
と
反省したりする
このまま
ビルの谷底を
歩いても
闇が広がるばかりで
先には
街灯もない
持っている物と言えば
この身体と
何冊かの読みかけの本
空は未だ紫色
辺りは
立ち込める
夜ばかり
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