エーテル 10/草野春心
 


  細かな砂や木屑とともに その数字はガラス瓶にいれられていた
  穏やかに晴れた休日、ひと気のない公園や路地裏に出むいては
  彼は 度々そういうものを拾ってきた
  いま、彼の部屋にはだれもいない
  まるで部屋そのものがうつむいているかのようだ
  海岸沿いの遊歩道を、ガードレールに沿って彼は歩いている
  けれども夕凪は 口を噤んで 彼に背を向けている



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