樹下にて/ヒヤシンス
 

 冬枯れの樹の下でなぜ孤独を感じる必要があるのだろう。
 そんなことを自分に問うた事のある人が一体いくら在るのだろう。
 自分に課した約束を反故にした人は一体幾人いるのだろう。
 犯した罪の償いに一体僕は何が出来るのだろう。
 大事なことを見失う悲しみに再び夜はやって来るのだろうか。
 私の理想にあなたの現実が重なり合うことはあるのだろうか。
 あなたとの邂逅がもしもあらかじめ用意されていたとしたら・・・。
 冷静を装っていた僕の着衣が一枚一枚剥ぎ取られていくようだ。
 祭壇に掲げられた裸の僕を憐れみの目で見るのはやめてくれ。
 価値のない生贄など何の役にも立ちはしない。

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