費やした時間の重さ/ベンジャミン
 

現実を麻痺させる
息を荒げて
渾身の力でトラックに放り込む

なぜかときおり手が止まり
色をなくした景色に
透明があふれた
それを必至に打ち消しながら
手に掴んだ感触だけを頼りにして

積み上げられた荷物と対称的に
沈み込む荷台とタイヤ
それが
費やした時間の重さなのか

そうか
そんなものだったのか
たったこれっぽっち

たったそれだけを積んで
運び去るトラック

窓越しに犬が吠え
網戸にもたれて猫が見おくる
かけてやる言葉もない

2階のカーテンが揺れていた

2度と開けることのない扉を閉めたとき
パタンと
空っぽな音がした

費やした時間などまるでなかったかのような
軽い軽い音だった








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