50年を隔てた同じ道/ichirou
 
1995年
この道が好きで
通勤路にしていた
国道16号線の裏道
川間のあたり

季節の花がいつも咲いている道
楽しげな子供たちの通学路
ゆっくり車で走っていた道

ある時
父と車で出かけたときに
何も考えずに
わざわざ遠回りして
この道を通った

すると
驚く父

「お前、なぜこの道を通るんだ」

この道は
僕が好きな道
通勤路


「ああ 懐かしい そうか 偶然か… 」

この道は

1945年
父が学童疎開していたときの通学路

父が毎日歩いていた道


そんな偶然を知ってから

この道で

50年前の
小学校5年生の父を
毎日見かけていた



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