愛を試そう。/愛心
僕はその度に、風呂から出して体を拭いたり、暖かいミルクを準備して、毛布をかけたり、黒髪を梳いて着替えを用意したり、彼女の傍に下手くそな手料理を置いたりした。
この期間の彼女との関係は、とても面倒で、滅入りそうなほど暗くて、自分で自分を傷つける彼女がとても悲しかったけど。
それでも、彼女は彼女だから。
長い期間こんな訳じゃない。数日後にはいつもの彼女に会えるのだから。
もし、会えなくなったとしても。
彼女は彼女だから。
僕以外に、【死にたがる彼女】の恋人はつとまらないよ。分かりきったことだ。
部屋の隅で小さくなって眠る彼女に「愛してる」と呟けば、彼女は泣き張らした目をうっすらと開けて、僕を見てふにゃりと微笑んだ。かさついた唇が同じ五文字をかたどると
彼女はゆっくり目を閉じて、寝息を立て始めた。
今夜は僕にも安眠が得られそうだ。
きっと明日にはカーテンの開いた部屋で、彼女の薄味の朝食が並ぶんだろう。
僕はキッチンに「和食希望」のメモを置いて、彼女の傍でそっと目を閉じた。
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